4.4.5 楽譜とパート

オーケストラ音楽では、すべての音符は 2 回譜刻されます。1 回は演奏家のためのパート譜で、1 回は指揮者のための総譜で譜刻されます。変数を使うことで二度手間を避けることができます。音楽は 1 回、変数に入力されます。その変数の内容は、パート譜と総譜の両方を生成するために使用されます。

音符を特別なファイルの中に定義すると便利です。例えば、ファイル horn-music.ly は以下のホルン/バスーン デュオのパートを保持しているとします:

hornNotes = \relative {
  \time 2/4
  r4 f8 a | cis4 f | e4 d |
}

個々のパートは、ファイルの中に以下の記述をすることによって作り出されます:

\include "horn-music.ly"

\header {
  instrument = "Horn in F"
}

{
 \transpose f c' \hornNotes
}

以下の行:

\include "horn-music.ly"

は、ファイルの中でその行が置かれている場所で、‘horn-music.ly’ の内容に置き換わり、hornNotes の定義になります。\transpose f c' は、引数 \hornNotes は 5 度上へ移調すべきであるということを示しています。f の音は譜面に表記された c' で表され、これは通常のフレンチ ホルンを F にチューニングすることに相当します。この移調により出力は以下のようになります:

[image of music]

アンサンブルでは、しばしばボイスの 1 つが何小節も演奏されないことがあります。これは特別な休符 – 複小節休符 – によって示されます。これは大文字の R とその後に続く演奏時間 (全音符には 1、半音符には 2 などです) で入力されます。この演奏時間に掛け算を行うことによって、さらに長い休符を構築することができます。例えば、以下の休符は 2/4 拍子で 3 小節分の長さになります:

R2*3

この部分を譜刻するとき、複小節休符を圧縮する必要があります。これを行う音楽関数が存在します。

\compressMMRests { ... }

これを hornNotes に適用すると、以下のような結果になります:

[image of music]

楽譜はすべての音楽を一緒にすることによって作り出されます。他のボイスはファイル ‘bassoon-music.ly’ の中の bassoonNotes の中にあると仮定すると、楽譜は以下のような記述で作られます:

\include "bassoon-music.ly"
\include "horn-music.ly"

<<
  \new Staff \hornNotes
  \new Staff \bassoonNotes
>>

そして、以下のような楽譜になります:

[image of music]

参照

学習マニュアル: 変数を用いて楽曲を編成する.

記譜法リファレンス: Transpose, Writing parts, Full measure rests, Including LilyPond files.


LilyPond — 学習マニュアル v2.24.4 (安定版).