[ << 基礎となるコンセプト ] | [Top][Contents][Index] | [ 出力を調整する >> ] |
[ < ボイスを明示的にインスタンス化する ] | [ Up : 音楽を保持するボイス ] | [ コンテキストとエングラーバ > ] |
4.2.3 ボイスとボーカル
声楽には特別な困難があります: 2 つの表記 – 音符と歌詞 – を組み合わせる必要があります。
すでに \addlyrics{}
コマンドを見てきました。これは簡単な楽譜であればうまく処理できます。しかしながら、この方法では限界があります。より複雑な音楽では、\new Lyrics
を使って歌詞を
Lyrics
コンテキストに取り込み、ボイスに割り当ている名前を使って
\lyricsto{}
でその歌詞を明示的に音符にリンクさせます。
<< \new Voice = "one" { \relative { \autoBeamOff \time 2/4 c''4 b8. a16 | g4. f8 | e4 d | c2 | } } \new Lyrics \lyricsto "one" { No more let | sins and | sor -- rows | grow. | } >>
歌詞は Staff
コンテキストではなく Voice
コンテキストにリンクさせなければならないということに注意してください。このため、Staff
コンテキストと Voice
コンテキストを明示的に作成する必要があります。
LilyPond がデフォルトで使用する自動連桁は楽器だけの音楽ではうまく機能しますが、歌詞を持つ音楽ではそれほどうまく機能しません。そこでは連桁はまったく必要ないか、歌詞のメリスマ (訳者注: 歌詞の 1 音節に対して複数の音符を割り当てること) を示すために使用されるかのどちらかです。上の例では、自動連桁を Off にするためにコマンド \autoBeamOff
を使用しています。
以前使用した Judas Maccabæus からの例を再度使用して、より自由度の高い方法を示します。まず、楽譜の内容を変数に振り直し、音楽と歌詞を譜表構造から分離させます。さらに ChoirStaff
ブラケットを導入します。歌詞自体は、音楽ではなく歌詞として解釈されることを保証するために、\lyricsmode
で導入されなければなりません。
global = { \key f \major \time 6/8 \partial 8 } SopOneMusic = \relative { c''8 | c8([ bes)] a a([ g)] f | f'4. b, | c4.~ 4 } SopOneLyrics = \lyricmode { Let | flee -- cy flocks the | hills a -- dorn, __ } SopTwoMusic = \relative { r8 | r4. r4 c'8 | a'8([ g)] f f([ e)] d | e8([ d)] c bes' } SopTwoLyrics = \lyricmode { Let | flee -- cy flocks the | hills a -- dorn, } \score { \new ChoirStaff << \new Staff << \new Voice = "SopOne" { \global \SopOneMusic } \new Lyrics \lyricsto "SopOne" { \SopOneLyrics } >> \new Staff << \new Voice = "SopTwo" { \global \SopTwoMusic } \new Lyrics \lyricsto "SopTwo" { \SopTwoLyrics } >> >> }
これはすべての声楽譜の基本的な構造です。必要に応じてさらに多くの譜が追加されるかもしれませんし、さらに多くのボイスが譜に追加されるかもしれませんし、さらに多くの歌詞 (原文: verse、各ボイスに対する歌詞、あるいは、歌詞の 1 番、2 番のことを指すと思われる) が歌詞に追加されるかもしれません。音楽部分が長くなりすぎた場合は、音楽を保持している変数を容易に別のファイルに置くことができます。
ここで、例として 4 つの歌詞 – それぞれが SATB (ソプラノ、アルト、テナー、バス) に対してセットされている – を持つ賛美歌の最初の 1 行目を取り上げます。この歌の場合、4 つのパートに対する歌詞の言葉は同じです。変数を使用して音楽記譜と歌詞の言葉を譜表構造から分離させている手法に注意してください。さらに、 ‘keyTime’ と呼ぶことにした変数が、2 つの譜で使用されるいくつかのコマンドを保持するために、使用されていることにも注意してください。他の例では、この変数はしばしば ‘global’ と呼ばれます。
keyTime = { \key c \major \time 4/4 \partial 4 } SopMusic = \relative { c'4 | e4. e8 g4 g | a4 a g } AltoMusic = \relative { c'4 | c4. c8 e4 e | f4 f e } TenorMusic = \relative { e4 | g4. g8 c4. b8 | a8 b c d e4 } BassMusic = \relative { c4 | c4. c8 c4 c | f8 g a b c4 } VerseOne = \lyricmode { E -- | ter -- nal fa -- ther, | strong to save, } VerseTwo = \lyricmode { O | Christ, whose voice the | wa -- ters heard, } VerseThree = \lyricmode { O | Ho -- ly Spi -- rit, | who didst brood } VerseFour = \lyricmode { O | Tri -- ni -- ty of | love and pow'r } \score { \new ChoirStaff << \new Staff << \clef "treble" \new Voice = "Sop" { \voiceOne \keyTime \SopMusic } \new Voice = "Alto" { \voiceTwo \AltoMusic } \new Lyrics \lyricsto "Sop" { \VerseOne } \new Lyrics \lyricsto "Sop" { \VerseTwo } \new Lyrics \lyricsto "Sop" { \VerseThree } \new Lyrics \lyricsto "Sop" { \VerseFour } >> \new Staff << \clef "bass" \new Voice = "Tenor" { \voiceOne \keyTime \TenorMusic } \new Voice = "Bass" { \voiceTwo \BassMusic } >> >> }
参照
記譜法リファレンス: Vocal music
[ << 基礎となるコンセプト ] | [Top][Contents][Index] | [ 出力を調整する >> ] |
[ < ボイスを明示的にインスタンス化する ] | [ Up : 音楽を保持するボイス ] | [ コンテキストとエングラーバ > ] |