3.1 音楽学のドキュメントの例

テキストのなかには楽譜の例を保持しているものがあります。そのようなテキストには、音楽学の専門書、歌集、このドキュメントのようなマニュアルがあります。そのようなテキストを手作業で作成することができます – PostScript 画像をワープロにインポートするといったようにです。しかしながら、HTML, LaTeX, Texinfo, それに DocBook ドキュメントの場合は、作業量を減らすための自動処理を利用することができます。

lilypond-book と呼ばれるスクリプトは楽譜の断片を抽出して、それらをフォーマットして、得られた楽譜をドキュメントに戻します。LaTeX に対するちょっとした使用例を示します。この例には説明文も含まれていますので、それ以上コメントすることはしません。

入力

\documentclass[a4paper]{article}

\begin{document}

\verb+lilypond-book+ のドキュメントでは自由に楽譜とテキストを
組み合わせることができます。
例えば、以下のように:

\begin{lilypond}
\relative {
  c'2 e2 \tuplet 3/2 { f8 a b } a2 e4
}
\end{lilypond}

オプションは角括弧の中に配置します。

\begin{lilypond}[fragment,quote,staffsize=26,verbatim]
  c'4 f16
\end{lilypond}

大きな楽譜例は別のファイルに配置して、\verb+\lilypondfile+ で
インポートすることができます。

\lilypondfile[quote,noindent]{screech-and-boink.ly}

(必要があれば、@file{screech-and-boink.ly} をこのファイルと同じディレクトリ
にある任意の @file{.ly} に置き換えてください。)

\end{document}

処理

上記のコードを lilybook.lytex というファイル名で保存して、ターミナルで以下を実行します:

lilypond-book --output=out --pdf lilybook.lytex
lilypond-book (GNU LilyPond) 2.25.21 
Reading lilybook.lytex...
…lots of stuff deleted…
Compiling lilybook.tex...
cd out
pdflatex lilybook
…lots of stuff deleted…
xpdf lilybook
(xpdf をお好みの PDF ビューアに置き換えてください)

lilypond-booklatex を実行すると多くの一時ファイルが作成されて、作業ディレクトリを散らかします。散らかされることを防ぐには --output=dir オプションを使います。このオプションを指定すると、一時ファイルはサブディレクトリ dir に作成されます。

以下に上記の LaTeX 例の結果を示します。3これでこのチュートリアル セクションを終わります。

出力

lilypond-book のドキュメントでは自由に楽譜とテキストを 組み合わせることができます。 例えば、以下のように:

[image of music]

オプションは角括弧の中に配置します。

c'4 f16

[image of music]

大きな楽譜例は別のファイルに配置して、\lilypondfile で インポートすることができます。

[image of music]

デフォルトあるいはカスタムの tagline が必要であれば、 楽譜コード断片全体を \book { } 構造で囲んでください。

\book{
  \header{
    title = "A scale in LilyPond"
  }

  \relative {
    c' d e f g a b c
  }
}

[image of music]


Footnotes

(3)

このチュートリアルは Texinfo で処理されるため、上記の例とはレイアウトが少し異なります。


GNU LilyPond – アプリケーション使用方法 v2.25.21 (開発版).