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5.1 一般的な提案
ここで、譜刻の際に起こる、最もよくある問題を回避 (あるいは修正) する手助けになりうる提案をいくつか挙げます:
- どんなに小さいファイルでも、すべての入力ファイルに必ず
\version
番号を含めるべきです。これは、LilyPond のどのバージョンでファイルが作られたかを覚えておかなくて良くなりますし、convert-ly
を使ってファイルを更新する の際に特に関わってきます (convert-ly は\version
が含まれている必要があります)。あるいは他のユーザに入力ファイルを送る際 (例えばメーリング リストで助けを得るとき) にも重要です。テンプレートはすべて\version
情報を保持しているということに注意してください。 - 入力ファイル 1 行につき、1 小節の音楽を書きます。 これは入力ファイルに関するあらゆる問題のデバッグを簡単にします。
- 小節と小節番号のチェックとオクターブ チェックを含めます。入力ファイルにこのような‘チェック’を含めておくことで、ミスを特定するのが早くなります。チェックをどのぐらいの頻度で追加するかは、その音楽の複雑さ次第です。簡単な音楽であれば、戦略上重要なポイントにいくつか追加するだけで十分でしょう。しかし、多くの声部や譜を持つようなもっと複雑な音楽であれば、おそらく各小節にチェックを入れたほうが良いでしょう。
- 入力ファイルにコメントをつけます。コメントとして音楽テーマへの参照 (‘ヴァイオリンの第 2 テーマ’, ‘第 4 変奏’) など) や、単純に小節番号を追加することは、入力ファイルの中の場所を特定するのを簡単にします。特に後で何かを変更しなければならない場合や、LilyPond 入力ファイルを他の人に渡す際には特に役立ちます。
- セクションの開始時に明示的に演奏時間を付け加えます。例えば、ただ
c d e f
と書く代わりにc4 d e f
と書くことで、後で音楽を再配置するのが簡単になります。 - 波括弧と並列表記にインデントを施します。問題はしばしば、どちらかの括弧が‘足りない’ことが原因です。波括弧の‘始まり’と‘終わり’
(あるいは
<<
と>>
) に明確なインデントを追加することで、このような問題を避けやすくなります。例えば以下の入力:\new Staff { \relative { r4 g'8 g c8 c4 d | e4 r8 | % Ossia section << { f8 c c | } \new Staff { f8 f c | } >> r4 | } }
は以下の入力より括弧の対応を追いかけやすいです:
\new Staff { \relative { r4 g'8 g c4 c8 d | e4 r8 % Ossia section << { f8 c c } \new Staff { f8 f c } >> r4 | } }
-
\layout
ブロックにオーバライドを追加することによって、音楽とスタイルを分割します:\score { …music… \layout { \override TabStaff.Stemstencil = ##f } }
このオーバライドは新しいコンテキストを生成しませんが、コンテキストが生成された際に適用されます。変数と関数を用いて入力の手間を省くやスタイル シートも参照してください。