無韻律の音楽

韻律のある音楽では、自動的に小節線が挿入され、小節番号が算出されます。無韻律の音楽 (例えばカデンツァ) では、これは望ましくなく、コマンド \cadenzaOn を用いて ‘スイッチ off’ することができます。‘スイッチ on’ に戻すには、適切な場所で \cadenzaOff を用います。

\relative c'' {
  c4 d e d
  \cadenzaOn
  c4 c d8[ d d] f4 g4.
  \cadenzaOff
  \bar "|"
  d4 e d c
}

[image of music]

カデンツァが終わると、小節番号が再開されます。

\relative c'' {
  % すべての小節番号を表示します
  \override Score.BarNumber.break-visibility = #all-visible
  c4 d e d
  \cadenzaOn
  c4 c d8[ d d] f4 g4.
  \cadenzaOff
  \bar "|"
  d4 e d c
}

[image of music]

カデンツァの中に \bar コマンドを挿入しても、小節線は表示されますが、新しい小節が始まることはありません。そのため、全ての臨時記号 – 通常小節の最後まで効果が持続する – は、\bar による小節線の後でも有効のままです。もし小節線の後の臨時記号を表示させたいならば、親切の臨時記号 (!) や忠告の臨時記号 (?) を手動で挿入する必要があります。臨時記号 を参照してください。

\relative c'' {
  c4 d e d
  \cadenzaOn
  cis4 d cis d
  \bar "|"
  % 最初の cis は小節線の後ですが、臨時記号無しで表示されます
  cis4 d cis! d
  \cadenzaOff
  \bar "|"
}

[image of music]

自動連桁は \cadenzaOn で無効になります。このため、カデンツァ内の連桁はすべて手動で入力する必要があります (手動連桁)。

\relative {
  \repeat unfold 8 { c''8 }
  \cadenzaOn
  cis8 c c c c
  \bar"|"
  c8 c c
  \cadenzaOff
  \repeat unfold 8 { c8 }
}

[image of music]

これらの定義済みコマンドは、たとえ Voice コンテキストの 1 つの中に配置したとしても、楽譜の中にあるすべての譜に影響を与えます。これを変更するには、Timing_translatorScore コンテキストから Staff コンテキストに移動させます。多拍子記譜法 を参照してください。

定義済みコマンド

\cadenzaOn, \cadenzaOff

参照

音楽用語集: cadenza

記譜法リファレンス: オブジェクトの可視性, 多拍子記譜法, 手動連桁, 臨時記号

コード断片集: Rhythms

既知の問題と警告

自動の改行と改ページが挿入されるのは小節線のある場所だけです。そのため、長い無韻律の音楽で改行や改ページを行うには手動で ‘不可視の’ 小節線を挿入する必要があります:

\bar ""

LilyPond 記譜法リファレンス v2.25.22 (development-branch).