音域

用語 音域 (ambitus) は、音楽のある部分の中にあるボイスがとるピッチの範囲を示します。さらに、ある楽器が演奏することができるピッチ範囲を示すこともあるかもしれません。音域をボーカル パートに譜刻することによって、歌い手はそのパートの音域が歌い手の能力と一致するかどうかを容易に見極めることができます。

音域は、楽曲の開始点で、最初の音部記号の近くに記されます。範囲は最低ピッチと最高ピッチを表す 2 つの音符によってグラフィカルに示されます。臨時記号は、その臨時記号が調号の一部でない場合にのみ譜刻されます。

\layout {
  \context {
    \Voice
    \consists Ambitus_engraver
  }
}

\relative {
  aes' c e2
  cis,1
}

[image of music]

Selected Snippets

音域をボイスごとに追加する

音域をボイスごとに追加することができます。この場合、衝突を避けるために Ambitus を手動で移動する必要があります。

\new Staff <<
  \new Voice \with {
    \consists "Ambitus_engraver"
  } \relative c'' {
    \override Ambitus.X-offset = 2.0
    \voiceOne
    c4 a d e
    f1
  }
  \new Voice \with {
    \consists "Ambitus_engraver"
  } \relative c' {
    \voiceTwo
    es4 f g as
    b1
  }
>>

[image of music]

複数のボイスを持つ譜での音域

Staff コンテキストに Ambitus_engraver を追加すると、譜にボイスが複数ある場合でも、譜ごとに音域を表示します。

\new Staff \with {
  \consists "Ambitus_engraver"
  }
<<
  \new Voice \relative c'' {
    \voiceOne
    c4 a d e
    f1
  }
  \new Voice \relative c' {
    \voiceTwo
    es4 f g as
    b1
  }
>>

[image of music]

音域の隙間を変更する

音域表示において、デフォルトの符頭と線との隙間を変更することができます。

\layout {
  \context {
    \Voice
    \consists "Ambitus_engraver"
  }
}

\new Staff {
  \time 2/4
  % Default setting
  c'4 g''
}

\new Staff {
  \time 2/4
  \override AmbitusLine.gap = 0
  c'4 g''
}

\new Staff {
  \time 2/4
  \override AmbitusLine.gap = 1
  c'4 g''
}

\new Staff {
  \time 2/4
  \override AmbitusLine.gap = 1.5
  c'4 g''
}

\paper { tagline = ##f }

[image of music]

参照

音楽用語集: ambitus

コード断片集: ピッチ

内部リファレンス: Ambitus_engraver, Voice, Staff, Ambitus, AmbitusAccidental, AmbitusLine, AmbitusNoteHead, ambitus-interface

既知の問題と警告

複数のボイスがある場合にボイスごとに音域をとることによって生じる音域の衝突を処理するシステムはありません。


LilyPond 記譜法リファレンス v2.25.21 (開発版).