新たな強弱記号

強弱記号を作成する最も容易な方法は、\markup オブジェクトを使用することです。

moltoF = \markup { molto \dynamic f }

\relative {
  <d' e>16_\moltoF <d e>
  <d e>2..
}

[image of music]

マークアップ モードでは、注釈の強弱記号 (括弧や角括弧で囲まれます) を作成することができます。マークアップ モードの構文は テキストをフォーマットする で記述されています。

roundF = \markup {
    \center-align \concat { \bold { \italic ( }
           \dynamic f \bold { \italic ) } } }
boxF = \markup { \bracket { \dynamic f } }
\relative {
  c'1_\roundF
  c1_\boxF
}

[image of music]

単純に中央揃えの強弱記号は make-dynamic-script 関数を用いて簡単に作成できます。

sfzp = #(make-dynamic-script "sfzp")
\relative {
  c'4 c c\sfzp c
}

[image of music]

一般に、make-dynamic-script は引数として何らかのマークアップ オブジェクトをとります。強弱記号のフォントに含まれる文字は f,m,p,r,s それに z だけです。このため、テキストや句読点を含む強弱記号を必要とする場合、フォント ファミリとフォント エンコーディングを通常のテキストに戻すためのマークアップ コマンド – 例えば \normal-text – を用いる必要があります。通常のマークアップの代わりに make-dynamic-script を用いる利点は、同じ符頭に付けられるマークアップ オブジェクトとヘアピンが垂直方向に揃うことを保証されている点にあります。

roundF = \markup { \center-align \concat {
           \normal-text { \bold { \italic ( } }
           \dynamic f
           \normal-text { \bold { \italic ) } } } }
boxF = \markup { \bracket { \dynamic f } }
mfEspress = \markup { \center-align \line {
              \hspace #3.7 mf \normal-text \italic espress. } }
roundFdynamic = #(make-dynamic-script roundF)
boxFdynamic = #(make-dynamic-script boxF)
mfEspressDynamic = #(make-dynamic-script mfEspress)
\relative {
  c'4_\roundFdynamic\< d e f
  g,1~_\boxFdynamic\>
  g1
  g'1~\mfEspressDynamic
  g1
}

[image of music]

Scheme 形式のマークアップ モードを用いることもできます。マークアップ Scheme の構文は Markup construction in Scheme で説明されています。

moltoF = #(make-dynamic-script
            (markup #:normal-text "molto"
                    #:dynamic "f"))
\relative {
  <d' e>16 <d e>
  <d e>2..\moltoF
}

[image of music]

強弱記号を音符に中央揃えさせるのではなく、左揃えさせるには、\tweak を使います:

moltoF = \tweak DynamicText.self-alignment-X #LEFT
         #(make-dynamic-script
            (markup #:normal-text "molto"
                    #:dynamic "f"))
\relative {
  <d' e>16 <d e>
  <d e>2..\moltoF <d e>1
}

[image of music]

マークアップ モードでのフォント設定は フォントとフォント サイズを選択する で記述されています。

参照

記譜法リファレンス: テキストをフォーマットする, フォントとフォント サイズを選択する, MIDI 出力をより良くする, MIDI での音の強弱を制御する

拡張: Markup construction in Scheme

コード断片集: 発想記号


LilyPond 記譜法リファレンス v2.25.21 (開発版).