記譜フォント サイズを選択する

Note:
テキストのフォント サイズに関しては、フォントとフォント サイズを選択するを参照してください。
譜のサイズに関しては、譜サイズを設定するを参照してください。
合図音符に関しては、合図音符をフォーマットするを参照してください。
オッシア譜に関しては、オッシア譜を参照してください。

譜のサイズを変えずに記譜のサイズを変更するには、\magnifyMusic コマンドに拡大縮小の割合を指定します:

\new Staff <<
  \new Voice \relative {
    \voiceOne
    <e' e'>4 <f f'>8. <g g'>16 <f f'>8 <e e'>4 r8
  }
  \new Voice \relative {
    \voiceTwo
    \magnifyMusic 0.63 {
      \override Score.SpacingSpanner.spacing-increment = #(* 1.2 0.63)
      r32 c'' a c a c a c r c a c a c a c
      r c a c a c a c a c a c a c a c
    }
  }
>>

[image of music]

上の例にある \override は、不具合の一時的な回避措置です。このセクションの最後にある“既知の問題と警告”を参照してください。

通常のサイズの音符が小さい音符とマージされる際には、符幹や臨時記号が正しく揃うように、小さい音符のサイズを(‘\once \normalsize によって) リセットする必要があります:

\new Staff <<
  \key fis \minor
  \mergeDifferentlyDottedOn
  \new Voice \relative {
    \voiceOne
    \magnifyMusic 0.63 {
      \override Score.SpacingSpanner.spacing-increment = #(* 1.2 0.63)
      \once \normalsize cis'32( cis' gis b a fis \once \normalsize d d'
      \once \normalsize cis, cis' gis b a gis \once \normalsize fis fis'
      \once \normalsize fis, fis' ais, cis b gis \once \normalsize eis eis'
      \once \normalsize a, a' bis, d cis b \once \normalsize gis gis')
    }
  }
  \new Voice \relative {
    \voiceTwo
    cis'8. d16 cis8. fis16 fis8. eis16 a8. gis16
  }
>>

[image of music]

\magnifyMusic コマンドは合図音符、装飾音符、オッシア譜を作るためのものとしては想定されていません – これらには、より適切な作成方法があります。代わりに、このコマンドは以下のような場合に適しています: 単一の譜にある、単一の楽器について、記譜サイズが変化し、しかし装飾音符を用いるのは適切ではない場合 – 例えばカデンツァのようなパッセージや上の例にあるような場合です。 \magnifyMusic の値を 0.63 にセットすることで、CueVoice と同じ大きさになります。

Note: \magnifyMusic コマンドは譜のサイズを変更する時にも使うべきではありません。譜サイズを設定するを参照してください。

個々のレイアウト オブジェクトのサイズを変更する

個々のレイアウト オブジェクトは \tweak\override コマンドを使って、font-size プロパティを調整することでサイズを変更できます:

\relative {
  % 符頭のサイズを変更します
  <f' \tweak font-size -4 b e>-5
  % 運指記号のサイズを変更します
  bes-\tweak font-size 0 -3
  % 臨時記号のサイズを変更します
  \once \override Accidental.font-size = -4 bes!-^
  % アーティキュレーションのサイズを変更します
  \once \override Script.font-size = 4 bes!-^
}

[image of music]

それぞれのレイアウト オブジェクトの font-size のデフォルト値は、内部リファレンスにリストアップされています。font-size プロパティはfont-interface をサポートしているレイアウト オブジェクトにのみ設定できます。font-size がオブジェクトの ‘Standard settings’ に存在していない場合は、デフォルト値は 0 です。All layout objects を参照してください。

fontSize プロパティを理解する

fontSize コンテキスト プロパティは、コンテキストに属するグリフ ベースの (訳注: フォントの文字として定義されている、詳しくは後述) 記譜要素全ての相対サイズを調整します:

\relative {
  \time 3/4
  d''4---5 c8( b a g) |
  \set fontSize = -6
  e'4-- c!8-4( b a g) |
  \set fontSize = 0
  fis4---3 e8( d) fis4 |
  g2.
}

[image of music]

fontSize の値は、現在の譜の高さに応じた通常のサイズからの相対値を示しています。デフォルトの fontSize は 0 です。fontSize に 6 を加えることで大きさが 2 倍になり、6 を減じることで半分になります。1 が約 12% の増減になります。

font-size プロパティの対数的な単位は常に直観的とは限りません。Scheme 関数 magnification->font-size はこれに対応する便利な関数です。例えば、記譜の大きさをデフォルトの 75% にしたい場合は、以下のようにします:

\set fontSize = #(magnification->font-size 0.75)

Scheme 関数 magstep は逆のことをします: font-size の値を拡大縮小率に変換します。

fontSize プロパティはグリフとして描かれている記譜要素のみに作用します – 例えば、符頭、臨時記号、文字などです。譜のサイズそのものや、符幹、連桁のサイズ、水平方向のスペースなどは変化しません。(譜のサイズを変更せずに) 符幹、連桁のサイズや、水平方向のスペースを変更するには、上記の \magnifyMusic を使用してください。譜のサイズを含めて、全てのサイズを変更する場合は、譜サイズを設定するを参照してください。

fontSize コンテキスト プロパティ が設定されると、個々のレイアウト オブジェクトのグリフが出力される前に、fontSize の値と、font-size グラフィカル オブジェクト プロパティの値が足し合わされます。これは、fontSize が既に設定されていて、個々の font-size プロパティを更に設定する場合に混乱するかもしれません:

% NoteHead のデフォルトの font-size は 0 です
% Fingering のデフォルトの font-size は -5 です
c''4-3

\set fontSize = -3
% NoteHead のフォント サイズの最終的な値は -3 になります
% Fingering のフォント サイズの最終的な値は -8 になります
c''4-3

\override Fingering.font-size = 0
% Fingering のフォント サイズの最終的な値は -3 になります
c''4-3

[image of music]

以下のような短縮記法コマンドも存在します:

コマンド同等なコマンド相対サイズ
\teeny\set fontSize = -371%
\tiny\set fontSize = -279%
\small\set fontSize = -189%
\normalsize\set fontSize = 0100%
\large\set fontSize = 1112%
\huge\set fontSize = 2126%
\relative c'' {
  \teeny
  c4.-> d8---3
  \tiny
  c4.-> d8---3
  \small
  c4.-> d8---3
  \normalsize
  c4.-> d8---3
  \large
  c4.-> d8---3
  \huge
  c4.-> d8---3
}

[image of music]

フォント サイズの変更は、ひな形のサイズが望みのサイズに最も近くなるよう (一定の割合で) 増減することによって、達成されます。標準フォント サイズ (font-size = 0 のフォント サイズ) は標準の譜の高さに基づきます。20pt の譜では、11pt のフォントが選択されます。

定義済みコマンド

\magnifyMusic, \teeny, \tiny, \small, \normalsize, \large, \huge

参照

記譜法リファレンス: フォントとフォント サイズを選択する, 譜サイズを設定する, 合図音符をフォーマットする, オッシア譜

インストールされているファイル: ly/music-functions-init.ly, ly/property-init.ly

コード断片集: Editorial annotations

内部リファレンス: font-interface

既知の問題と警告

\magnifyMusic を使用する際に、水平方向のスペースが不適切になる 2 つの不具合があります。これを解決する方法が 1 つだけありますが、全ての場合にうまくいくとは限りません。次の例で、mag 変数を好きな値に置き換えてください。\newSpacingSection コマンドの片方や両方、あるいは \override\revert コマンドを取り除いてみることができます:

\magnifyMusic mag {
  \newSpacingSection
  \override Score.SpacingSpanner.spacing-increment = #(* 1.2 mag)
  [music]
  \newSpacingSection
  \revert Score.SpacingSpanner.spacing-increment
}

LilyPond 記譜法リファレンス v2.25.21 (開発版).