[ << 専門的な記譜法 ] | [Top][Contents][Index] | [ 入出力全般 >> ] |
[ < Mensurstriche レイアウト ] | [ Up : 古代音楽に取り組む – 事例とその解決法 ] | [ 1 つのソースから古代譜と現代譜の両方を生成する > ] |
グレゴリオ聖歌を転写する
グレゴリオ聖歌は、いくつかのシンプルな調整によって現代譜に転写することができます。
符幹: Voice
コンテキストの Stem_engraver
を \remove
によって削除することで、符幹を完全に作らないようにできます:
\layout { … \context { \Voice \remove Stem_engraver } }
タイミング: 拍子の無い曲では、いくつかの手段があります:
Time_signature_engraver
を Staff
コンテキストから問題なく削除することができます。そうせずに、拍子記号を透明にすると、拍子記号はスペースを確保したままであるため、楽譜には何もないスペースが残ってしまいます。
多くの場合では、\set Score.timing = ##f
が良い結果をもたらします。他には、\cadenzaOn
と \cadenzaOff
を使う方法があります。
小節線を削除するには、基本的には Staff
コンテキストの
Bar_engraver
を \remove
によって削除します。小節線が必要な部分がある場合、\hide BarLine
を代わりに使うことができます。
朗唱部分は、繰り返される音符が 1 つのブレーヴェで示されます。朗唱のテキストを配置する方法は 2 つあります。1 つ目は、左揃えの 1 音節として配置する方法です:
chant = \relative { \clef "G_8" c'\breve c4 b4 a c2 c4 \divisioMaior c\breve c4 c f, f \finalis } verba = \lyricmode { \once \override LyricText.self-alignment-X = #-1 "Noctem quietam et" fi -- nem per -- fec -- tum \once \override LyricText.self-alignment-X = #-1 "concedat nobis Dominus" om -- ni -- po -- tens. } \score { \new Staff << \new Voice = "melody" \chant \new Lyrics = "one" \lyricsto melody \verba >> \layout { \context { \Staff \remove Time_signature_engraver \remove Bar_engraver } \context { \Voice \remove Stem_engraver } } }
これで基本的に問題はありませんが、テキストが改行しないという問題があります。改行が必要な場合は、以下のように、楽譜に不可視の音符を付け加えます。
一部の転写のスタイルでは、例えば朗唱部分からメロディ部分へと以降することを示すために、符幹が用いられることがあります。このような場合、Stem_engraver
を \remove
する代わりに、\hide Stem
あるいは \override Stem.length = #0
を使い、
符幹が必要な場面で \undo \hide Stem
(訳注: あるいは \revert Stem.length
) を使って元に戻すことができます。
chant = \relative { \clef "G_8" \set Score.timing = ##f \hide Stem c'\breve \hide NoteHead c c c c c \undo \hide NoteHead \undo \hide Stem \stemUp c4 b4 a \hide Stem c2 c4 \divisioMaior c\breve \hide NoteHead c c c c c c c \undo \hide NoteHead c4 c f, f \finalis } verba = \lyricmode { No -- ctem qui -- e -- tam et fi -- nem per -- fec -- tum con -- ce -- dat no -- bis Do -- mi -- nus om -- ni -- po -- tens. } \score { \new Staff << \new Voice = "melody" \chant \new Lyrics \lyricsto "melody" \verba >> \layout { \context { \Staff \remove Time_signature_engraver \hide BarLine } } }
ネウマ譜あるいはメリスマ式の聖歌
(それぞれの音節に様々な数の音符が割り当てられているもの)
を転写することも一般的です。このとき、音節ごとに間を開けて、長いメリスマにおいては、更に細かいグループに分けて表示したい場合があります。これを行う方法の 1 つは、\time
を 1/4 などに固定し、連符や短い音符を使って、それぞれの音節やグループで 1 小節を作るというものです。小節線や他のリズムに関する表示が透明になっていて、小節線の周りのスペースが増やされているなら、現代譜で上手くオリジナルを表現することができます。
異なる長さの音節 (“-ri” と “-rum” など) によって音符のグループが不均一な間隔で分かれてしまうなら、LyricText
オブジェクトの X-extent
プロパティを固定値にセットすることで対処できます。または、より厄介ではありますが、音節を \markup
要素にするという方法があります。更に調整が必要なら、s
‘音符’で簡単に行うことができます。
spiritus = \relative { \time 1/4 \override Lyrics.LyricText.X-extent = #'(0 . 3) d'4 \tuplet 3/2 { f8 a g } g a a4 g f8 e d4 f8 g g8 d f g a g f4 g8 a a4 s \tuplet 3/2 { g8 f d } e f g a g4 } spirLyr = \lyricmode { Spi -- ri -- _ _ tus _ Do -- mi -- ni _ re -- ple -- _ vit _ or -- _ bem _ ter -- ra -- _ rum, al -- _ _ le -- _ lu -- _ ia. } \score { \new Staff << \new Voice = "chant" \spiritus \new Lyrics = "one" \lyricsto "chant" \spirLyr >> \layout { \context { \Staff \remove Time_signature_engraver \override BarLine.X-extent = #'(-1 . 1) \hide Stem \hide Beam \hide BarLine \hide TupletNumber } } }
[ << 専門的な記譜法 ] | [Top][Contents][Index] | [ 入出力全般 >> ] |
[ < Mensurstriche レイアウト ] | [ Up : 古代音楽に取り組む – 事例とその解決法 ] | [ 1 つのソースから古代譜と現代譜の両方を生成する > ] |